2008年09月08日

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冴えないアル中のバーテンが、爆弾テロに巻き込まれる。
関係ないと思っていたらいつの間にか事件の中心人物にされ、
親友も死に、昔の恋人も死に、男は事件の真相に迫る。
いくら「典型的」とか「出来すぎ」とか言われたって、ハードボイルド好きな人にはたまらないと思うわ、これ。
ずっと前に江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞したいわゆる『名作』。
陳腐なタイトルといかにも社会派チックな表紙が気に食わなくて読まずに放っておいたけど読んでみたら非常によく出来た作品でした。
今まで読まなかった私のバカ!とか言ってみる。
この作品の素晴らしいところは、
簡潔な文章の美しさ、必要な分量だけにまとめられた手際の良さ、
ハードボイルドな雰囲気を出しながらミステリとしての基本は失わないところ、
あと主人公の優しさ。
これだけそろってりゃ十分でしょう。
作者の藤原さんは去年亡くなったけど、この作品を書いたエピソードがまた秀逸。
| 追悼・藤原伊織さん 「博打の借金」から生まれた直木賞 「1000万円を返さなければ命を取られる」 私がアメリカ電通でNYにいる時に電話がかかって来た。どうしても10月までに 1000万円を返さなければ命を取られる。江戸川乱歩賞が賞金1000万円で、それを取る自信はある。ついてはNYの地理、曲がりくねった交通事故の多そうな道路や5番街の様相などを教えてくれと。それが「テロリストのパラソル」になり、見事乱歩賞を取った。…(本文抜粋) |
博打の借金返済で乱歩賞って、
藤原さんの生き様が一番ハードボイルドじゃないですか。
乱歩賞を狙って取れるというのも、この作品の計算された作りをみるとさもありなんというかんじ。
藤原さん自身この本の前書きで「職人を感じる太宰のような文章を目指したい」と書いてたけど、確かにこれは職人芸だと思います。
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