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『まずはあなたのお名前をおねがいします。』


全てが質問(Q)と回答(A)で構成された秀逸なストーリー。

初めは「M」というショッピングセンターで起きた不可解な事件について
事件関係者へのQ&Aが行われる。
数人の回答者の主観的な答え(A)から事件の全体像が見えてくるけど、
それはもちろん、質問者と私たち読者にしかわからない。

ここまでなら「ふーん」で終わるところだけど、
このあと物語は質問者を変え、回答者を変え、事件後の人々を追う。

奇跡的に助かった娘を教祖に仕立てて新興宗教を起こす母親。
質問者としての仕事に疲れ、妄想を語り続ける男。

多くの人々の思惑が絡み合い、事件が事件を呼ぶ。
この展開は恩田さんの別作品『ドミノ』にも似てるけど、
あちらは通常の形式で書いているのに対して、こちらは会話のみ。
この複雑な流れを、会話だけで成立させてしまう所がすごい。

会話だけの作品なら井上夢人さんの『もつれっぱなし』もあるけど、
『もつれっぱなし』がショートショートなのに対してこちらは長編だし、
回答者同士の微妙な人間関係もあってさらに複雑。

「えーと、この人ってさっきの回答者の旦那さん?じゃなくて愛人だったっけ?」みたいな。
人物評を作らないと理解できなくなりそう。

読んでいるうちにじわりじわりと感じてくる怖さ、ラストの気味悪さ、後味の悪さも恩田陸ならでは。
なんかもう一番追い詰められて弱らされてるのは読者なんじゃないかって気がしてくる。
この感覚がイヤっていう人は多いけど、私は結構好きだなあ。
頭を使うようなスリリングなものが読みたい、という時にオススメ。



一つの作品の中に、登場人物は28人!
 それぞれの思惑や行動が少しずつ重なって、一つの大事件へと発展する。
人物の書き分け、伏線もしっかりしていて、軽めのドタバタコメディーとしてオススメの一冊。


全てが会話形式。
情景も心理も一切描写のない中で、淡々と男女の会話が進んでいく。
読んでいるうちに彼らの生活を覗き見ているような気分になるのが面白い。
ちょっと不思議で面白みのある短編集。

 
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