ナイン・ストーリーズ :J.D.サリンジャー


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なぜかサリンジャー氏には良くない偏見を持っていて
今まで読んだことがなかったのだけど、
読んでみると結構面白い。

まず会話が抜群にうまい。

この人はきっと演劇の演出をやらせても成功したんではなかろうか。
ぽんぽんと軽く進んでいくテンポと、すごく「ありそう」な遣り取り。

特に、1作目の『バナナフィッシュにうってつけの日』に出てくる母と娘の電話。
そして『コネティカットのひょこひょこおじさん』での女同士でのおしゃべり。

あのくだらない、無意味な、当人たち以外にとっては全く楽しくもないおしゃべりの数々を
よくまあ再現できるもんだなあ。


ナイン・ストーリーズはそれぞれ独立した短編でありながら、
実は他の話にもつながっていて、
特に『バナナフィッシュに…』に登場するシーモア・グラースは
サリンジャーの作品全体のカギとなる人物らしい。

どうやらサリンジャーはグラース家という一族のいる世界を一貫して描こうとしているらしいのね。
そのグラース家の長男がシーモア。See More Glass.
シーモア自身は早々と自殺してしまうんだけど、残された家族の会話や行動によって生前のシーモアがどんなふうだったかが語られることになっている。

日本だと舞城王太郎の書こうとしてる奈津川サーガがそんな感じかもしれませんね。


サリンジャーはもう隠棲してるのでこのグラース家の物語が完結する可能性はないんだけど、
もう少しグラース家の人々と親交を深めてみるのも悪くはない。

次は『フラニーとゾーイー』を読んでみよう。

 
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